郷ひろみがステージに立つ理由「実は私が一番励まされている」とは?

参考:日刊SPA!

1972年のデビューから50年、50周年記念の両A面シングル「100GO!回の確信犯/狐火」をリリースし、日本の歌謡界のトップを走り続けてきた郷ひろみさん。今回のロングインタビューでは、進化し続けるエンターテイナーのスタイルに迫ります。

郷ひろみでなくなっても、ファンは満足しないと思いますよ(笑)。

–郷さんは迷ったときには、「郷ひろみとして生きていくのか?郷ひろみとして生きていくのか、生きたくないのか?(笑) –以前、テレビで郷さんが鏡に向かって「郷ひろみとして生きるのか、生きないのか」と問いかけるエピソードを見たことがあります。郷ひろみとして生きることをやめようと思ったり、迷ったりしたことはありましたか?

郷。正直なところ、迷いがあったとは思えません。”郷ひろみであることをやめるということは、逃げることではないか “とずっと思っていました。一度逃げたら、2回、3回と逃げますよね。一生逃げ続けなければならない。

だから、どれだけ時間がかかっても、それに向き合って乗り越えていくべきだと思ったんでしょうね。そして何よりも、何十年も応援してくれているファンの皆さんが、私が郷ひろみを辞めることに納得してくれるとは思えませんから(笑)。

(笑)でも、今後、あるところまで仕上げていけば、「もういいよ、ヒロミはここまでやってくれたんだから」と言ってくれる時が来るかもしれません。最低でもそのくらいは行かないといけないと思います。”何年やっているか “ではなく、”どう生きてきたか”、”どこまでやってきたか “ということ。それが人々に求められていることだと思います。

まあ、この歳になるともう見た目は関係ないですけどね(笑)。今でも会場に来てくれる人は、私の生き方に共鳴してくれたとか、そういう人がほとんどだと思いますよ。私よりもかっこいい人、歌がうまい人、ダンスがうまい人がたくさんいますからね(笑)。

努力することの大切さ

–いや、郷さん。そんな人はあまりいないと思いますよ(笑)。

まあ、だからこそ、人間性を豊かにしていきたいと思いますよね。もう嘘はつけない! (10代、20代の頃は外見だけでよかったかもしれませんが、そういうものがどんどん削ぎ落とされて、ファンの目も肥えてきています。

それに耐えられるだけの歌、踊り、話術、人間性がなければ、40年、50年経っても誰も応援してくれないでしょう。だからこそ、心の中に本当の自分を作り上げ、それを豊かにしていくしかないと思います。

結局、さっきも言ったように、一日一日の積み重ねが大事なんです。努力することの大切さ。それは本当に実感しています。自分と比べることはできませんが、例えば食事の仕方が違っていたら、もっと不健康な体になっていたかもしれません。

私は週3回のトレーニングを35年ほど続けていますが、「トレーニングをしていなかったら、どんな体になっていたんだろう?と考えます。

やっていなかったら、という比較はできませんが、今、健康でいられるということは、続けてきてよかったということだと思っています。

また、自分を知ることはとても大切です。

–ターンの鋭さはまったく変わっていません。むしろ、さらに美しくなったように感じます。

郷。やはり、動きが早く、自分なりに楽しむことができるようになったと感じています。もし自分が楽しめなくなったら、引退を考えなければならないかもしれませんね。……

他人からどう見られているかを知ることはもちろん大切ですが、自分自身を知ることもとても大切です。トレーニングを続けてきたおかげで、自分のイメージと体の動きにギャップはありません。若い頃と同じ感覚でいられるので、今でも調子が良いと感じています。

プライベートと仕事を区別したり、切り替えたりすることは考えていません。
–日常生活の中で、「郷ひろみであることをやめる」瞬間はありますか?日常生活の中で、郷ひろみであることから離れる瞬間はありますか? 家でくつろいでいるときは完全にスイッチを切っているのか、それとも寝て起きたときにはすでに郷ひろみになっているのか。

郷。正直なところ、オン/オフという考え方はすでに排除している気がします。プライベートでも仕事でも、区別やスイッチを入れることは考えていません。

例えば、私がステージに立つときは、メイクをして、衣装に着替えて、袖でスタンバイして、スタッフと楽しくおしゃべりして、マイクをチェックして、音がスタートするんです。その日の最初のショーが始まった瞬間に、もう自然とスイッチが入ってしまうのです。

意識して「スイッチを入れよう」とか「徐々にスイッチを入れていこう」とか「上げていこう」と思ったことはなく、自然な流れの中で勝手にスイッチが入っていくのです。いつどこで何が起こっているのか、まったくわからないんです(笑)。

だからこそ、開演直前まで周りのスタッフとのおしゃべりを楽しんでいます。コロナ以前は、開演直前に写真撮影の依頼を受けていました。”本番30分前で、もう集中しているから無理 “ということはありませんでした。

本番前のリハーサルでは、本番で100%のパフォーマンスを発揮することに集中していたので、集中力を高めようとする必要はなかったのですが、音が流れて照明がついたときには、もう郷ひろみができあがっていました。仕事でもプライベートでも、その時の自然体の自分をイメージしています。

何千回と歌ってきた曲こそ、一番気をつけなければならないことなのです。

–なるほど。少し話は変わりますが、ご自身のライブにしても、NHK紅白歌合戦にしても、これだけ輝かしいキャリアを積んでいると、興奮していても、もう緊張しないのではないでしょうか?

郷。緊張して「どうしよう、どうしよう」と思うことはありません。もう手に汗握ることはないですね(笑)。逆に、あえて自分の中でテンションを上げていくこともあります。

というのも、私の経験上、人はたいてい「これは私に任せろ!」と思った瞬間に上がってしまうものだからです。周りの人にも言っているのですが、「人は得意なことで失敗する。だからこそ、「よろしく哀愁」や「お花嫁サンバ」、「2億4千万の瞳」など、何千回も何万回も歌ってきた曲には一番気をつけなければならないのです。

ちょっとした心の隙を突かれる。それくらい、不注意は怖いものです。うっかりしているつもりはなくても、心のどこかで「まあ、大丈夫だろう」と思っているかもしれない。

逆に、苦手なことがあると「苦手なんだ」とわかってしまうので、慎重になってしまいます(笑)。得意なことほど慎重になるべきです。そう自分に言い聞かせています。

実際、一番励まされているのは私です。

–最後に、現在行われているツアーについてお聞かせください。5ヶ月で55公演というのは、そろそろ折り返し地点ですね。今回はコロナ禍での公演ということで、いつもとは少し違った雰囲気になると思いますが、実際にステージに立ってみていかがですか?

郷さん 会場は最大収容人数の50%しか入れないので、仕方がないとはいえ、(お客さんが)声を出したくても出せないというのは、…… の課題です。それは仕方がないことだと理解していても、自分にとっては辛いことです。

自分の演技でも、あまりお客さんを煽るようなことはしないほうがいいのかなと思ったりします。自分の演奏でも、あまりお客さんを煽るようなことはしないほうがいいのかなと思ってしまいます。人はどうしても興奮してしまうものだと思います。”やりすぎたかな “と思う瞬間もあります。と思う瞬間もあります。

でも、そんな状況でも会場に足を運んでくださる方々の勇気には本当に頭が下がります。”逆に勇気をもらっている “と言ってもいいかもしれません。自分が楽しんで、みんなを元気づけようと思ってステージに立っているのに、実は自分が一番励まされているような気がするんですよね。

いつもは日本中のたくさんのコンサートに私を見に来てくれている人が、こういう状況になると、「今年はコンサートに行かない」とか、「家の近くのコンサートだけに絞る」とか、「我慢して1回しか見に行かない」とか、そういうことになるのではないでしょうか。

ある意味、この一回だけのために勇気を出して見に来てくれたんだろうなということがわかります。そのエネルギーや雰囲気は、ステージに立っていても伝わってきます。

だからこそ、より良いショーにしなければならない。その気持ちは、いつも以上に強いです。私も、バンドメンバーも、スタッフも、このために100%の準備をしてきました。こんなときだからこそ、ぜひ楽しんで帰ってもらいたいですね。